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2001年01月12日

記憶より美しいものはない

CD(とCDプレイヤー)が発売開始されたとき、ほとんどのオーディオメーカーは現在ほどに普及するには相当な時間がかかると予測していたそうである。どう考えてもアナログ盤よりCDの方が優れているのだからその予測は甘かったとしかいいようがない。未だにアナログ盤の愛好者はいるが、それは音質へのこだわりと言うよりは「古きよき時代への郷愁」と言った方が的を射ているだろう。

21世紀に確実に消えてしまうと予想されるものに、ビデオが挙げられる。不勉強なので録画も出来るDVDの規格統一がどの程度進んでいるのか知らないが、それが進めばいずれはDVDに取って代わられるだろう。今現在の話で言っても、テレビドラマを録画する人たちにとってはまだまだビデオは必要だろうが、僕などはほとんどビデオは映画を借りてきて見るためだけのツールになっているので、DVDプレイヤーだけで充分だったりする。DVDは映像の美しさもさることながら、音響が格段にいい。ちゃんとしたスピーカーを揃えれば、映画館の迫力がそのまま楽しめる。

決定的にビデオと差がつくのは、やはり画質の劣化がないことだろう。10年前に録画したビデオテープなどは見られたものではない。下手をするとカビが生えて全く見られなくなることもある。その点DVDは何年経とうと画質は綺麗なままである。これはでかい。映画などをビデオテープでコレクションしていたのがなんだかアホらしくなってくる。

それとはいきなり別の話になるんだが、先日妹が購入したデジタルビデオの映像を見せてもらう機会があった。これがまたすごい! 見たことがない人は是非誰かに借りてでも見てもらいたい。テレビモニターってこんなに美しい映像を表示できるんだ!? と思うに違いない。どの程度凄いのかなかなか表現しづらいが、VHSなんかで録画したものとは比べ物にならない。録画ではない単なるテレビ放送と比べても桁違いに綺麗だ。これが永遠に画質がそのままで残るのだから、そりゃーお父さんも運動会シーズンに思わず買っちゃうわ、というものだ。僕も当然欲しくなった。しかし買っても全く使う機会が無さそうなので、本気で買おうとまでは思わない。

見せてもらったものはお決まりという感じの「子供のお遊戯会」の映像だったのだが、これを見て複雑な気分になった。というか妄想の世界にはまりこんだ。

写っている我が子(僕の子供じゃないが )が3年後、交通事故で不慮の死を遂げる。葬式が終わった後、憔悴しきって自宅に帰る。ふと目に付く「2000年 ○月○日 お遊戯会」のラベル。自然と手が伸びる。「ああ あの日は失敗しちゃって大恥かいたんだっけな……」。泣いてるのか笑ってるのかわからない表情で、ディスクをプレイヤーに挿入する。調子っぱずれに歌っている子供達の声。カメラがパンするとおどけた顔でこちらを向く我が子の顔。「もう2度と、君のおどけた表情を見ることはできないんだね……」ハイ! カーーット! 謎。

思わず本当に泣いちゃいそうな気分になった。しかしこれだけ生々しい映像が永遠に残るというのは、こういうことが世界のあちこちで普通に起こるようになるということだろう。自分にもしこういう不幸が起きたら、この映像はかけがえのない宝物になるのだろうか? それともいつまでも過去をひきずってしまう足枷になるのだろうか? そう考えたらなんだか「デジタルビデオはいらないや」と思った。はい、これで20万円くらいの得!



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