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2001年02月25日

つまらなかったら金返します

僕のエンターテイメント系本のオールタイムベスト10を書いてみよう。所謂「広義のミステリ」ってやつだ。最近のミステリー業界はSFやら冒険小説やらを取り込んで、エンターテイメント一般を全て内包している感がある。「犯罪が起きて、謎があってトリックがあって、最後に犯人が判明する」という狭義のミステリの範疇には収まりきらない面白本が全てミステリのカテゴリーで分類されているのだ。僕もそれにならってチョイスしてみる。今回は日本に限ってみよう。

『私が殺した少女』原りょう ハヤカワ文庫
どうしてもこれを1位からはずすわけにはいかない。ミステリとして読むと物足りない面もあるのだが、主人公沢崎の生き様がとにかくかっこいい。文章それ自体が読んでいて心地よいと言うか、原りょう節だったらたとえ料理のレシピを書いたものでも読んでみたいと思わせる部分がある。不動の1位。もし読むなら第1作目の「そして夜は蘇る」から読み始めた方がいい。
『猛き箱舟』船戸与一 集英社文庫
熱い! 熱すぎる! 読む人を選ばない面白さという部分ではこれが1位でもおかしくない最高のエンターテイメント本だ。船戸の本はどれも皆面白いが、ほとんどの作品がストーリー的に破綻している中、これは収まりも良くて船戸最高傑作と言えると思う。BoDの前フリブックレビューに載せてある。
『黒い家』貴志祐介 角川ホラー文庫
『青の炎』『天使の囀り』の3作品を全部ベスト10入りさせたいのが、それも面白くないので1人の作家1作品とするとやはり「黒い家」になる。読んでいて寒気がするような恐ろしさがある。今もっとも安心して読める作家No.1かもしれない。天才だ。
『二重螺旋の悪魔』梅原克文 角川ホラー文庫
『ソリトンの悪魔』の方が完成度という点では圧倒的に上なのだが、こちらの方が荒々しい力強さに満ち溢れていて僕の好みである。ちなみにこれはもろSFなのでミステリだと思って読むとびっくりする。ハリウッドで映画化して欲しいNo.1(梅原自身もそれを強く希望している)
『魍魎の匣』京極夏彦 講談社ノベルス
一種のブームみたいになってるので説明不要かもしれないが、キャラ小説として読んでも面白いし、アカデミックな教養本として読んでも相当面白い。これは京極の2作目で、僕の中ではこれが最高傑作。但し1作目から順を追って読んでいかないとわけわからないので注意が必要だ。この人が文壇に現われてから、ペダンチズムしか取りえの無いやたら長いだけの小説が溢れかえった。そう言った意味では罪は大きい。
『ダックコール』稲見一良 ハヤカワ文庫
何も解説したくない。これを読んで何も感じられない人とは友達になりたくない。素晴らしいの一言。
『ターン』北村薫 新潮文庫
暖かい人物描写にホっとさせられるのだが、人間はそればかりではないということをさりげなく突きつけてくる作家。登場人物がいい人ばかりで、和んで読んでいると冷や水をぶっかけられる。「日常ミステリ」というカテゴリを生んだ人でもあるが、この作品はSF。他の著作も全て面白いので、出来れば全部ベスト10入りさせたいくらいだ。
『ガダラの豚』中島らも 集英社文庫
中島らもは小難しいことを小難しく書かない作家で大好きだ。エッセーが結構売れているみたいだが、僕は長編小説の方がいいと思う。「永遠も半ばを過ぎて」もそのぶっとび具合に驚いた。読者の期待を見事に裏切る天才。BoDの前フリブックレビューに載せてある。
『ブルース』花村萬月 角川文庫
暴力を描かせたらこの人。たけし映画が好きな人なら必ずハマるだろう。この人の作品はどれも殺伐としているのだが、せつなさとユーモアが不思議と漂っている。中でもこのブルースは強烈な印象を残す1作だ。
『ダレカガナカニイル』井上夢人 新潮文庫
合作ユニット「岡嶋二人」を解消した井上夢人が書いた傑作。こういう力技をすんなりと読ませるのが作家の腕の見せ所だ。僕は涙もろいのでこういうのを読むとしばらく力が出なくなる。感情移入しまくり。

なんか見事なくらい謎解きと無縁の作品ばかり集まってしまった。僕はホントはミステリが嫌いなのかもしれない。



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