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2001年05月22日

ゲームの本質(4) -宮本茂-

宮本茂氏のことをとりあげよう。ゲームファンにとっては今更紹介するまでもないカリスマだが、知らない人も中にはいるだろう。少し経歴を紹介する。

宮本茂 1952年京都生まれ。生え抜きの任天堂社員(取締役・情報開発部部長)にして、稀代のヒットメーカー。元ビートルズのポール・マッカートニーにサインをねだられたという逸話はゲーム業界の伝説ともなっている。アメリカのゲームショウなどに出席すると、姿を見せるだけで観衆がスタンティングオベーションをするという業界一の超有名人。代表作は『ドンキーコング』『スーパーマリオブラザース』『ゼルダの伝説』。作ったゲームのほとんど全てに続編があるのはヒットメーカーの証である。

僕は決して任天堂信者ではないが、ほとんど狂信的な宮本茂信者である。ゲームを作るということは世界を創造するということに等しいという意味において、僕にとって神そのものである。……と言うとまるで氏の言う事は無条件に正しいと信じ込んでいるように思われるかもしれないが、そうではない。僕は僕自身の頭で氏の言う事を吟味しているが、未だかつてその言葉に頷けなかった事がない。そして氏の作ったゲームに失望したこともない。DQやFFがシリーズのいくつかでファンの期待を裏切ることがあったのに対し、宮本氏の作ったゲームはファンの期待を裏切るどころか、必ず期待以上のものだったという実績がある。以下は宮本語録である。

「テーマとなっていたのは「なぜもう一度そのゲームをやる気になるのか?」ということだった。さまざまなゲームを自分で試してみておもしろいと思う理由は何かという問いに対して数多くの答えを考えた。自分の経験や他人がプレイする様子を思い浮かべながら考え続け、一つの結論に達した。何をするべきかをよくわかっており、かつ、なぜ失敗したかがよくわかっていること。これがプレイヤーが同じゲームを何度も繰り返す理由だ。そしてこの「何をするべきかがわかっており、なぜ失敗したかもよくわかっている仕掛け」をゲームの中に持ち込むことを決めた」1997年多摩豊著『テレビゲームの神々』より

「みんなが買いたくなるような「マリオ」を作るんです、ぼくは。うん、ほんと、それだけ。なんでもいいから面白いことを考えて、それにマリオのキャラクターを乗せる。今までのマリオと同じようなものを作ってしもたから、キャラもマリオにせんとおかしい、っていう考えでゲームは作りたくないんで、新しいものを作って、で、そこにマリオを乗せてみて、で、マリオが似合わなかったら、ゼルダに替えようかな、なんて 笑」

「『スーパーマリオBros.』が、「横スクロールアクションゲーム」というジャンルを作ったわけです。『マリオ64』では、「3Dアクションゲーム」というジャンルをきちっと体系づけたわけで。だからそういう意味では、今度のもまた、来年以降のビデオゲームの軸になるようなものをきっちりと作ることが大事なことやと、ぼくは思うんですね。たぶんお客さんのほうも、「とにかくマリオじゃなきゃイヤだ」ということではないと思うし。次のマリオが乗っかってる、その遊びの骨格に魅力があるからこそ、そこに乗ってくれるんだと思うしね。「こんなの今までなかったよ、わぁ!」っていうもの。それを、作りたいですね」

「3Dアクションというだけで面白がる時期は終わったと思います。3Dゲームにすることで面白さが引き立つ、ゲーム性の「アイディア」が中心にならないと、だめなんでしょうね」1999年11月ほぼ日刊イトイ新聞より

「任天堂の商品があまりにも子供に偏ってしまったっていうのは、失敗やと思ってるんですよ 笑。だんだんそうなってしまったというか、とくに上のほうの年齢層を担ってたサードパーティーが抜けた穴を十分埋められなかったとか、そういういろんな失敗はあるんです」2000年6月ファミ通.comのインタビューより

「ロールプレーイングゲームがいつしか物語、物語と言われすぎるようになった反発もあるんです。シナリオは凝るんだけど、結局、ボスキャラを強くするとか、アイテムを増やすとかしかなくなる。ゲームとしての新しい楽しみはなくなっちゃう。小説や映画では味わえない、ゲームならではの楽しみを与えるシステムを作りたかった」

「Ninetndo64の性能は90パーセントくらい使えたかな。自由に遊べるように仕掛けを盛り込みました。村の中でいろんな人と話をしているだけでも、かなり遊べるんやないですか。世界なんて、救いたくなければ救わなくてもいいんです 笑」2000年6月朝日新聞社のインタビューより

僕のようにゲームの本質を机上で論じるだけなら誰でも出来る。しかしそれを高い次元で具現化する能力がある人は本当に少ない。宮本茂は間違いなくゲーム史上最高の才能をもった人だと言えると思う。

つづく



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