
先日ニュースを見ていたら面白い言葉を仕入れることが出来た。「テコ」だ。
駅近くのガード下などに、週刊誌や漫画雑誌を並べて売っている人がいる。粗末なベニヤ板に平積みされている雑誌は、駅に捨てられていたものを拾ってきたものだ。「え? そうなの?」と思うくらい小綺麗なのが不思議だが、あれは全部捨てられたものなのだ。
その仕入れを行うのが「テコ」と呼ばれる人たちなんだそうだ。テコたちはホームをうろつき、真新しい雑誌がゴミ箱に捨てられるとすぐさま拾い上げて、売り場に持っていく。売り場のおじさんは定価よりも安い値段でテコが拾ってきた雑誌を再販売する。これで1日7〜8万の売上になるそうだ。元手はロハなので結構美味しい商売に思えるが、実態はそうではないらしい。
ニュースでは売り場のおじさんが逮捕されていた。容疑は「道路交通法違反」である。路上でモノを売る人にはこの法律しか適用できないからだ。しかし警察の狙いは別にある。それは暴力団の資金源根絶である。なんと売り場のおじさんは日給3000円(!!)で暴力団に働かされている人なのだった。おじさん曰く「俺は1日3000円しかもらってないし、警察さんに怒られても勝手にやめるわけにはいかないんだ」
まあ なんとも哀れな話だ。「社会の底辺」ってこういう世界なのかなと思ったりする。丸1日働いて7万円を売り上げても収入は3000円……。警察にマークされても暴力団の手前、勝手に逃げ出すわけにはいかない。例え捕まっても所詮道路交通法違反なのですぐに釈放されるから、焼け石に水だ。搾取している暴力団の方をなんとかしない限り事態は一向に変化しない。
テコの方は一体いくら収入があるのか詳しく紹介されていなかったが、売り場のおじさんの日給から推測すると、恐らく1冊5円とか10円とかその程度の歩合制だろう。「やりたくてこんな仕事してるわけじゃねえよ!!」という悲痛な叫びが聞こえてきそうな現実だ。
しかし面白いのはこの「テコ」というネーミングの方で、一体由来はなんなのかと気になって仕方ない。隠語には、世界を別の角度から見る方法がたくさん詰まっている。
==追記==
ホットの調べによると「テコ」は手子、つまり下働きをする者ということらしい。うーん隠語でも何でもなかった……。がっかり……。暴力団関係は妙に古臭い言葉を使ったりするので、その類の用語用法のようだ。しかしいずれにしても趣のある言葉ではある。「拾い屋」なんてネーミングよりはかなりポイントが高いだろう。
「隠語」をキーワードにいろいろ検索していたらなかなかいいテキストに巡りあった。「集団語とは何か」一読に値する。
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