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2001年09月27日

狂牛病騒動の最中でも焼肉を食うのさ

先日焼肉屋にメシを食いに行った時の話。

地元では一番美味いところで、それなりに値段も高いのだが、いつもここに行くことにしている。従業員はほぼ全員が韓国人で、オーダーの時に話が通じなかったりするんだが、それも全然気にならない。

その日僕は少しビールを飲みすぎ、いい感じに調子が上がっていた。従業員の韓国人の女の子がかわいかったのでどうしても話がしたくなり、オーダーのついでに話し掛けてみた。

「お姉さん達は日本に来てどれくらいになるの? 俺、結構この店来てるんだけど、随分前からいるような気がする」

「お姉さん」という言い方がオヤジそのものだが(笑)、まあそこは気にするところではない。黙って読みたまえ。

「はい。4月からですから、もう半年くらいになります。私達、お客さんの事覚えてます。よく食べに来てくれてますよね」
「(おお覚えてくれてたか) そっか、まだ半年か。日本には留学で?」
「はい。韓国の大学に行ってますけど、今は日本語の勉強に来ています。あの 駅のホームで人を助けようとして死んでしまった韓国人が通っていた日本語学校です」
「あそこに行ってるのか。あれは大変だったね」
「私達は彼が死んだ後に来たんですけど」

少し仕事が忙しくなり、会話は途絶えた。その後また店が暇になり、彼女達は手持ち無沙汰で何かプリントのようなものを読み始めた。

「何を読んでるの? 見せて見せて」

話し掛けられるのを待っていたかのように満面の笑みでプリントを持って来てくれる。

「試験が近いんです。日本語の勉強です。アルバイトばかりしてると全然日本語覚えられません」
「でもお客さんと話したりするでしょ?」
「注文聞くだけですから。日本語を覚えたかったらアルバイトしちゃダメです。でもお客さんが話し掛けてくれて嬉しいです」

語彙が足らないせいもあるが、面と向かって素直に「嬉しい」と言われるとこちらも嬉しくなる。それからしばらく狂牛病の話や、日本語習得の難しさについて話し込んだ。彼女達の勤勉さに舌を巻く。心から日本語を習得したいと思っているのが手にとるようにわかった。僕はちょっと感動すると同時に、昔は勤勉さがとりえだった日本人の堕落について少し思いをはせた。外国に留学してる日本人たちは彼女達のように、その国の人たちに感動を与えられるほどちゃんと頑張ってるだろうか? もちろんそういう人もいるだろう。でも多いとは思えなかった。他人の事はいい。自分はどうだ? とても勤勉とは言い難い。

どうしても聞きたかったんだが、聞きそびれた質問がある。「僕の世代は戦争を知らない。昔日本人が韓国の人に対してやったひどい仕打ちの事も知らない。それを両親や祖父母から聞かされたこともない。でも君たちはそういう事もしっかり人から聞いて、知っているよね? それで日本人が嫌いになったりしないの? なぜ日本語を覚えたいの?」聞いてみたいが、答えを知るのが怖くなるような質問だ。結局言えなかった。

帰りしな、ごちそうさまと言う僕に、「楽しかったです」と笑顔で応えてくれた。それが質問の答えであったらいいなと思った。



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