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2001年09月30日

価値

'プリンス'小林尊

小林尊(たける)という男をご存知だろうか?

年齢23歳。身長173cm。体重58kg。小林の職業は大食いである。TBSでやった第一回「フードバトルクラブ」という特番で、並み居る強者どもを次々と撃破し優勝した男だ。恐らく今、日本一、いや世界一の胃袋を持つ男と言って間違いない。とにかく今までの大食い野郎どもなど足元にも及ばない強さを持っており、見ていると恐怖すら感じる食いっぷりなのだった。

ニューヨークで毎年ホッドドックの早食いコンテストが行なわれているのだが、そこでは長い間、新井という日本人が無類の強さを誇っていた。12分間で31本のホットドックを食う小柄な日本人に、ニューヨーカーは毎度度肝を抜かれていたのだが、なんと今年の大会では小林が12分間で50本を食うという人間離れした記録で優勝してしまった。小林は元々大食いの選手であって早食いは得意ではなかったのだが、新井という男を超えるためにスピードを身につける訓練を積んだのである。平たく言うと「丸飲み」の特訓だ。少量の水さえあれば、小林は大きめのゆで卵くらいのものを噛まずに飲み込むことが出来る。(1分間で23個!)

「職業は大食い」と書いたのはそのまんまの意味で、小林は現在それ以外に職を持っていない。いろいろな大食い大会での賞金だけで暮らしているのである。昨年1年間の年収は実に2000万円。フードファイターという呼称が、絵空事ではなく実際にありえるということを認識させられるとんでもない額の収入だ。

第一回フードバトルクラブでの小林の闘いは感動すら覚える見事なものだった。準決勝、早食い王新井との対決では、ずっと目標だった新井を下し、大粒の涙をこぼした。決勝戦、3人でのラーメン対決では、制限時間1時間で何杯食えるかで勝負が決まるルールだったのだが、小林はライバル2人の箸が止まっているにも関わらず食いつづけた。ライバル2人は10分くらいの時間を残して、約11杯でギブアップ気味だったので、小林は12杯食えば楽々優勝だったのだが、制限時間最後の1秒まで食い続け14杯のラーメンを完食したのである。ライバルに圧倒的な差を見せつけ、「俺の敵は俺だけだ!」と言わんばかりの鬼気迫る食いっぷりだった。

「大食いなんかに人生賭けてるのバッカみたい」という見方は、小林の姿を見ていると吹き飛ぶ。価値をどこに置くかは人それぞれだが、自分で価値あるものと認めたものに対して情熱を傾けられない者や、価値あるもの自体を見出せない者に小林を笑う資格はないだろう。

君にとっての「価値あるもの」って何よ?



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