
同時多発テロ、それに続く報復攻撃についてつらつらと考えていたのだが、やはりどうしても身近な問題として捉えられない。ブッシュが好むと好まざるとに関わらず、情勢はイスラム対西欧という図式に向かっているし、日本はと言うとアメリカの尻にくっついてるギョウ虫みたいな存在に過ぎない。イスラム圏の人たちはこの下等な存在にほとんど注意を払っていないような気がする。というわけで「なんだか遠く離れた所で起こっている戦争」という感がどうしてもぬぐえないのだった。
僕は個人的にブッシュが大嫌いだ。ブッシュ抜きにしても、今までアメリカがやってきた身勝手な行動は目に余る。自由貿易の建前を大きく掲げながら、儲けすぎてる国(というかアメリカに損をさせている国。つまりかつての日本)にはやりすぎとも思える無茶な要求を突きつける。世界の隅々までわざわざ出張っていって、正義の名の元に紛争に介入する。その紛争介入も結局は国益がらみだ。テロ国家と呼ばれる国々もどうかと思うが、アメリカだって相当なワルであることは間違いない。言うなれば「おまえのものは俺のもの、俺のものは俺のもの」というジャイアン的存在である。テロの標的にされるのも理解出来る。
先日、毎日新聞に載っていた記事に「なるほどな」と思わせるものがあった。詳しい内容は忘れてしまったが、大体次のような論旨だったはずだ。うろ覚えの記憶を頼りに要約するので少し違っているかもしれないが。
「ごく短時間に大量に人が死ぬと、世界は大きく揺れ動く。今回のテロでアメリカ国民は報復行動へ一斉に世論が傾いたが、もっと大事な事を忘れてはいないだろうか? 確かに今回のテロは悲惨だが、地球温暖化のような問題だって切迫している。長い年月をかけて大量に人が死ぬのと、短時間で大量に人が死ぬのとの違いでしかない。アメリカは京都議定書を離脱したが、これは今回のテロに匹敵する身勝手で邪悪な行動だ。人々は目の前の衝撃的な事実に目を奪われ、長いスパンでものを考える力を失っている」
ブッシュが口をすべらせて「十字軍」と言ったことも見逃せない。彼にとっては所詮そういう感覚なのだ。
ウサマ・ビンラーディンが狂った戦闘マシーンだというのは異論ないが、やはり問題なのは多くの人が指摘しているようにイスラム圏の人は誰もがアメリカを苦々しく思っていることだ。アフガンを焦土と化してビンラーディンを捕らえたとしても、結局第二のビンラーディンがどこからか現れる。ビンラーディン及びアルカイーダの主だったメンバーを捕らえることが出来たら、アメリカはその後中東から完全に軍を撤退すべきだ。例えイラクが隣国に攻め入って、石油の供給がストップしようともだ。石油のために軍を駐留させていたらまた同じ事が起こる。
僕の足りない頭では「イスラム対アメリカ」についての考えはこの程度が精一杯である。どこかで誰かが言った事の繰り返しでしかない。
それよりも僕が強く危惧しているのは、先日言ったように「最悪の前例が作られた」という事に尽きる。うまく言葉に出来ないが、人間のタガがはずれたような、想像もつかない事態が今後起きても不思議ではなくなったということだ。例えばどこかのバカが自家用セスナで炭疽菌をばらまき、数十人の命が奪われたとしよう。多くの人は恐怖を感じると同時に、心のどこかで「なんだ数十人か。同時テロの時よりみみっちいな」と思うはずだ。「地下鉄駅でばらまけば数万人が死んだかもしれないのに」とも。「日本人の犠牲者はナシか。ふーん」とも。
こういう負のベクトルがエスカレートするのが何より怖い。みみっちいと思っているのはテロリスト自身かもしれない。彼らがあの同時テロを超えようというわけのわからない野望に燃えたとしたら、次にやることは核兵器の使用くらいしか残されていないのだ。
その核兵器を最初に使用し、広島と長崎を地獄と化したのはアメリカだ。「誤爆で民間人が数人死亡」という事実を大げさに悲しんで見せる前に、まず自分たちが行なった過去の過ちを深く見つめなおしてもらいたい。そうでなければテロリストたちにも同じように、自分たちが行なった罪の大きさを感じさせる事は出来ない。
神の名や、正義の名を借りて人を殺すのはもうやめろ。その名を心からはずしたときに、やっと罪の大きさに気付くことが出来るはずだ。
毎日営業先でいろいろな人と会う。その中の一人の言葉。
アメリカもさっさと核ミサイルぶっぱなして、イスラム教のやつら皆殺しにしちゃえばいいんだよな。まどろっこしいことしてねーでよ。
この程度の認識が現実なのか? 仕事をする気が失せた。
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