
「おまえはなぜ俺につきまとうんだ?」
「あなたを見ていると飽きないからです」
「不快だ。消えてくれ」
「いやです。あなたが私の視界から消える以外ありません」
「なんで俺が消えなきゃいけないんだ。バカなことを言うな」
「お互い相手の行動を縛る事は出来ないということです。相手に行動を強制するつもりなら暴力以外に手段はありません」
「じゃあそうさせてもらおうか」
バキッ!
「痛たたた……。本気のパンチですね。でもこの程度では引き下がりませんよ」
「おまえは狂ってる。じゃあ消えるまでやらせてもらおうか」
バキッ! ドカッ! ドスッ! ドンッ! バンッ!
「さすがに痛いです。辛いです」
「なら消えることだ。おまえに監視されていると虫酸が走る」
「残念ながらご期待には添えません。私はこれからもずっとあなたを見続けます」
「なんてヤツだ……。病院送りにされないとわからないようだな」
「病院送り? 笑わせないでください。傷が癒えたらまたあなたを見続けますよ。例え何ヶ月入院しようとも、また同じ事を繰り返すだけです」
「……」
「私を排除したいなら私を殺す以外に方法はない。そのための暴力です。あなたは私を殺す覚悟がおありですか?」
「何を言ってるんだおまえは。いい加減にしろ。警察を呼ぶぞ」
「呼びたければ呼べばいいでしょう。それは脅しか何かですか? 脅しなのだとしたら何の効果もない。私は警察に捕まっても、裁判で有罪を食らっても、何の痛痒も感じない。留置所や刑務所から出所したら同じ事を繰り返すだけです。あなたは私から決して逃げられない。私を排除したいなら私を殺す以外に方法はないのです。そして私を殺した罪で刑務所で一生を終えるしかない」
「そんなこと出来るわけがないだろう!」
「では私の視界から完全に消えなさい。但しどこに逃げようとも私はあなたを地の果てまでも追う。消えるというのは死んで土に還るという事です」
「狂ってる。おまえは狂ってる!」
「いいえ私は狂っていません。あなたが愚か者だという事です。社会の暗黙のルールがどこでも通用すると信じている愚か者です」
「じゃあ一体俺はどうすればいいんだ! !?」
「私に見られ続ければいいんです。あなたはそんな簡単な事にも耐えられないんですか? そんな事のために殺人を犯したり自殺したりするような人間なのですか?」
「俺は……俺は……」
「月日が経てば大抵の事には慣れます。受け入れなさい」
「……」
2年後彼らは結婚し、幸せな家庭を築いた。
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