
大体青梅なんて人間が住むとこじゃない。梅が住むとこだ。青梅から僕の家まで車で2時間近くかかる。その間 道路上は牛だの狸だのインパラだの動物王国さながらのありさま。そりゃアクセルも吹かし気味になるよ。以下実話。
199x年10月某日夜10時、青梅を出発した僕は快調に国道を走っていた。ちょうどいい具合に信号にひっかからずにいる。たまにこういうのに遭遇すると全能感を感じる。「俺様は今正にこの道を支配している! いかなる信号機と雖も俺様の疾走を止めることかなわず!」まあそんな感じで調子に乗っていたわけだ。
しばらく行くと、2台並行してやけにノロノロ走っているバカ共にぶち当たった。多分友人同士のドライブなんだろう。窓越しに手を振っていたりする。完全に行く手を阻まれた僕はストレスで狂いそうになった。「なんぴとたりとも俺様の行く手を阻むは許すまじ!」
後方から急接近して右側車線の車にプレッシャーを与える。左右に車を振り、「どけ!」という意思表示をする。渋々道を譲った車を猛スピードで追い越し、さらに数10m先の信号が黄色になるのを確認した。せっかくうざいクソ車を抜いたのに、こんなクソ信号ごときに止められるのは我慢ならん! さらにアクセルを踏み込む。
ピカッ!!!
「は? 何ですか? 今の何ですか?」言うまでもなくオービスだ。オービスちゃんだ。クソオービス様だ。やられた。俺様はハメられた。さっきのクソ車は仕込みか? いや仕込みだ。絶対にそうだ。間違いねえ。でもオービスは本物か? 光るだけで実は写真撮ってないんじゃないのか? 多分そうだろ。いやそうに決まってる。俺様がこんなドジ踏むわけない。俺様の元に召集令状は来ない。絶対に!
……2ヵ月後に来た。粛々とこうべを垂れ、立川の簡易裁判所に向かう俺様。12月の冷たい雨が足取りをさらに重くする。判決主文。
被告を罰金7万円の刑に処する
後で領収証がもらえた。日付を見て「これは後々ネタに出来るかもな」と少し笑みがこぼれた。サンタならぬ検察庁分任収入官吏による領収証には、12月24日の文字が記されていた。
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