
超大作ゲーム、メタルギアソリッド2を一通りクリアした(ノーマルモードまで)。今回はオタク視点からこのゲームのダメな点を中心に語る。オタクじゃない人たち、わけわかんないでしょうがごめんなさい。
いろいろな意味でゲームの可能性を感じさせてくれる凄い代物であるのは確かなんだが、外連味が強すぎて浮いてるキャラクターと、あまりにもひねりすぎて破綻しているストーリーのせいで超傑作にはなりきれなかったと思う。この圧倒的なボリュームを実現するにはさぞ莫大な制作費がかかっていることだろう。もったいない。
前作でゲームとしての面白さは完全に確立しており、あとはいかに細かいディテールを作りこむかという部分だけになっていたと思うのだが、監督の小島秀夫はゲームとしての面白さを追求するよりも小島本人の作家性を前面に押し出すことに全力を注いだようだ。「ストーリーなんてものはゲームに必要ない」とまで言い切る宮本茂とは対極に位置するゲームデザイナーだと言える。
ことプレイシーンに関して言えば、メタルギアソリッドもルールと場所だけを提供し、楽しみ方はユーザー自身に委ねるという部分で宮本茂の思想に近いものがあるのだが、ムービーシーンはゴリ押しと言えるほど小島色が強い。これがどうも僕には馴染めない。同じ一本道のRPGでありながら、DQの主人公が決して自分から言葉を発さないのに対し、FFのキャラクターはユーザーの意思とは無関係に饒舌に話すのと同じ構図である。どちらが優れているのかという問題でなくあくまで好みの問題なんだが、仮令1本道のストーリーであっても能動的に主人公を動かしているという感覚がより強く感じられるDQの方が僕は好きだ。それがゲームというものだと思っている。
今回メタルギアソリッド2は1から大幅に映画寄りにシフトしており、下手をしたらプレイシーンよりムービーシーンの方が時間が長いかもしれない。僕の好みではないが、これが仮に素晴らしいストーリーであればそれはそれで合間に秀逸なミニゲームが挟まれている映画として楽しめる。しかしこの映画的部分が今回決定的にダメだったと僕は思う。現実と非現実の境界をあいまいにして見る者を混乱に陥れる手法や、破綻しきったストーリーをメタな視点で再構築し、オタク心をくすぐるという手法は既に一連の押井守作品や映画『ツインピークス』、エヴァンゲリオンなどで散々やりつくされている(押井作品は完全には破綻してないが)。この手の手法は「なんだかよくわかんないけど高尚な感じがする」ものとしてカルト人気を得るのに一役買っていたのだが、もう中途半端なものではオタク達は満足しない次元に突入しているのだ。こういった題材を映画として成立させようと思ったら、相当な論理的作り込みがなされていなくてはならない。作家自身が物語の全体像をわかっていない状態はもう許されないのだ。
TVアニメ、エヴァンゲリオンがあれだけ絢爛豪華なディテールを駆使してオタクをくすぐり手懐けたのに、結局最後の最後で物語の破綻を主人公の内省(例の「僕はここにいていいんだ」)に収束させてしまったことで大反発を食らったのは記憶に新しい。広げた大風呂敷はかならず綺麗にたたまれなければならない。これは長時間拘束されるゲーム(しかも高額!)であればなおさらで、10時間も20時間もかけてやり通したゲームの世界観が作家自身によって破壊されるのは僕としては我慢ならない。そんなものは竹本健治のメタ小説だけで十分だ(本なら安いしね)。
最後にキャラクターなどの造形について細かい部分にも言及しておこう。まずヴァンプ。これがそもそも世界観をめちゃくちゃにしている元凶だと思われる。ハードボイルド近未来SFの枠を大きく逸脱しており、リアリティのかけらもない。次にフォーチュン。女であることの必然性が微塵も感じられない。単に有色人種の精悍な女戦士を登場させたいだけであるのがミエミエだ。あの大仰な武器に関しての言及も一切なく、これもリアリティを台無しにしている一因だ。そして雷電の恋人役のローズ。登場シーンからいきなり腰砕け。非現実感を演出するならもう少しマシな背景を持っていてもらいたいものだ。
ゲームとしての完成度が、キャラクターとストーリーによってスポイルされるという稀有な例だ。その逆のケースは今までいくらでも見てきたが、これだけ期待され金をかけた大作でこんな事が起きるとは。なまじゲームデザイナーがビッグネームになってしまうとノーと言える人間が周りにいなくなってしまうという例かもしれない。小島秀夫は試しに映画を撮ってみるといい。名場面のダイジェストだけで構成され、ストーリーが全くない同人漫画のような映画が出来上がるだろう。そして「この映画がわからないやつは理解力がないんだよ」と嘯くごく一部のオタクの間でだけカルト作家として崇拝されるだろう。僕はそんな映画には金を払いたくない。
総合得点80点。何だかんだ言ってもゲームの歴史に残るエポックメイキングであることは否めない。改めてPS2のポテンシャルの高さを思い知らされた。このゲームの商業的成功は小島秀夫の勝利ではなく、PS2の勝利だ。
難しい漢字使うなという指摘を頂きました。読みだけ記します。RUBY要素が全ブラウザで使えればなあ……
難しいかなぁ……。
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