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2001年12月16日

久しぶりだね 元気だったかい?

今では見る影もないが、その昔日比谷の映画街はいかがわしさがプンプン漂う小汚い場所だった。九龍城のようにパイプ類が剥き出しの薄暗い通路には雨も降ってないのにいつも水溜りが出来ていて、何とも言えない臭いが漂っていた。この臭いが僕の映画体験の原点になっている。まだ有楽町マリオンも出来ていない頃の話だ。

現在の日比谷映画は元は千代田劇場という名の映画館で、取り壊された日比谷映画の名前だけを引き継いでいる。この隣に広がるプチ九龍城には本当にコアな映画マニアがいつもうろうろしていた。旧作のパンフレットやポスターを揃えた店があり、狭い店内にぎっしりと積まれたお宝に目を輝かせた記憶がある。もっとも中学生だった僕には全然手が出せない代物だったが。

親の財布から金をちょろまかしては学校をさぼって日比谷まで行き、映画を観終わったら九龍城のゲーセンで時間を潰すというのがお決まりのパターンだった。大学生が使うようなバインダーをいつも持ち歩き、映画館で配布しているチラシを片っ端からそこにファイルしていく。バインダーの中にはそういったチラシと、行く度に数枚購入していた映画の前売り券がびっしりと入っている。ゲーセンの片隅でそれを広げて、一枚一枚丁寧に見ていくのが何より楽しい時間だった。日比谷というのは大人の街なので、寂れたゲーセンなんかに人はほとんどいない。補導員が来るという事も無かった。中学生の僕が何時間でもいられる場所だったのだ。

今考えると一人ぽっちで学校さぼって映画見てる中学生というのは、えらい孤独で可哀相なヤツだなぁという気がするが、その頃の僕は孤独感なんてものは微塵も感じていなかった。とにかく1本でも多く映画が観たい! 面白い映画に出会いたい! という一心だったのだ。同世代の友人には映画の感想を言い合えるヤツなんて一人もいなかったし、そもそも感想を言い合うという楽しみを知らなかった。今ではネットを通じて、知らない人とすら映画談義が出来る。誰も観てないと思っていたマイナーな映画にも必ずファンがいて、そういう人たちを探すのもそれほど難しいことじゃない。でもたった一人で一生懸命アンテナ張って、面白い映画を見出すことに熱中していたあの時代は、なんか格別だったよなぁという気がするのである。

その頃観た映画は今でもほとんどが強烈に印象に残っている。便利な時代になって、埋もれた名作が次々DVD化されていくのは嬉しい限りだが、今観ると色褪せてやしないかとちょっと心配だ。時間の経過とともに記憶が美化されてるんじゃないのか?『ダーククリスタル』と『バンデットQ』がその答えをくれる。久しぶりの旧友との再会に、緊張気味の今日この頃。



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