バイト時代に見た凄い客の話。以前にもこんな話やこんな話やこんな話を書きましたが、少しシリーズでやりたいと思います。
足かけ8年もウェイターやってるとたまにすごい客に出食わします。僕がバイトしてたお店は近くに病院があり、精神科に罹っている方なんかもかなり来ました。突拍子もない行動で驚かされるのですが、今日のお話は健常者のお客さん。
閉店間際、4名席に男が3人、女が1人。見るからに仲の良さそうな、と言うか付き合いの長そうな4人組です。年の頃は30代前半。女性だけはもう少し若そうでした。食事も半ばというところでワインを飲みだし、テーブルには手付かずのパスタなどが残っています。どうやら酒を飲みだすと食わないタイプのようです。
「アニさんアニさん、ちょっと12卓まずいっすよ」
「ん? 4人組のアレか? 大人しく飲んでるだろ?」
「いや、なんか喧嘩始まっちゃったみたいです。周りのお客さん引いてます」
「仕方ねえなあ。もう少しで閉店だし、ちょっと様子見とけ」
「はい」
僕は早く閉店したい一心で洗い物に精を出していました。いつもはレジ前に出ているのですが、洗い物に不慣れな新人がいたため持ち場を代わっていたのです。
「アニさん! やばい!」
「マジか!? すぐ行く!」
僕がフロアに出るのと、女がワインを正面の男にぶっかけたのがほぼ同時でした。しかし正面の男がこれを中途半端によけやがります。アホか……。そういう時は黙って素直にぶっかけられなさい。案の定逆上した女は、ワイングラスをテーブルに叩きつけるやいなや、あろうことかスパゲッティの皿を手に取りました。まずい! 後ろの客が無防備だ! 宙を飛ぶスパゲッティ。よける男。脳内麻薬の分泌により全てがスローモーション。美しい弧を描き、スパゲッティは後ろの無関係な客の後頭部に命中しました。
「いい加減にしてよ! あたし帰るから!」
僕らにとっては意味不明な言葉を残し、スパゲティを投げた張本人の女は風のように去っていきました。いい加減にしてほしいのはこっちです。一瞬時間が止まったかのような静寂に包まれました。そして憤怒の形相で振り返るスパゲティまみれの被害者……。あわわわわ。投げた張本人は早々と店を出ています。怒りの矛先は当然残された3人の男たちに向かったのですが、彼らも興奮していて話になりません。「バカ野郎!今すぐあの女を呼び戻せ!」「知るか! あんな女! おまえが勝手に連れて来い!」「なんだと!? お前たちのツレだろうが!」「あんな女、ツレでもなんでもねーよ!」
もう滅茶苦茶です。泣きそうです。スパゲッティをぶっかけられた客の怒りはフロア責任者の僕にまで向けられ、小一時間ほど説教を喰らいました。床にぶちまけられたワインとスパゲッティの掃除もあり、閉店時間はいつもより1時間半ほど遅れることになりました。電車もありません。自腹でタクシーです……。
僕は声を大にして言いたい。ドラマを作ってる人たち、真似するバカが出るのでグラスの飲み物を男にぶっかけるシーンは作らないでください。現実の男はよけます。無関係な人が迷惑します。あと、現実のイイ女はあんなことしません。本当にやっちゃうのは不細工なヒステリー女だけです。←そうとも限らないらしい。たまらんわ。ほんと。
MENU
冷麺最新5件の記事
冷麺最新3ヶ月
Amazonトップセラー