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2002年03月01日

ゲームレビュー『動物番長』

動物番長を一通りプレイした。いきなり点数からかまそう。残念ながら70点。

プレイ開始直後は任天堂のはじけっぷりにかなり感動したのだが、肝心のゲーム性の部分は少々作り込みが足りないように感じた。あれだけグラフィックの制約を取っ払ったのだから、もう少しじっくり作ってもらいたかったように思う。ルイージマンション→ピクミン→動物番長と一連の任天堂製GCアクションゲームをやって思うのは、「コンパクトさ」にこだわっているということだ。マップ、プレイ時間、作品世界、どれを取ってもコンパクトに設計されている。これはこれである種美徳ではあるのだが、その分底なしに深いアクション性を追求してほしかったと思うのだ。ピクミンに関しては文句はないが、ルイージマンションと動物番長はコアなゲーマーには物足りなさ過ぎる。この物足りなさを埋めるにはマリオやゼルダまで待つしかない。

動物番長のアクションはニクを喰らうときの爽快感がキモだが、そこに至るまでの道のりがかなりかったるい。成長過程で何回か最弱の状態まで戻されるので、爽快感が持続しないのもマイナスポイントだ。これが原因で何度もやり込もうという気が起きない。またやり込んで上達するという性質のアクションでもない。カメラワークがイマイチで空間把握がしづらいのも辛い。

僕は楽しんでこのゲームをプレイ出来たが、美麗なグラフィックに慣れてしまっている若年ゲーマーが果たしてこのゲームを面白いと思ってくれるかどうかとても心配だ。グラフィックのしょぼさ(これは敢えてしょぼくしているに間違いないのだが)ばかりが目立ってクソゲーの烙印を押されかねない。「ルール」の作り込みが足りないのだ。「こうしたらこうなる」という部分をもっとたくさんちりばめないとダメなのだ。

このゲーム最大の面白さは実はゲーム性とは無関係な部分にある。それは主人公のセリフであったり、フォントであったり、音楽であったりするのだが、僕はこの部分で勝負するゲームを高く評価したくない。そういう意味での70点だ。かつて『暴れん坊天狗』や『超兄貴』といった何の変哲もないシューティングゲームが、細かいディテールの面白さでカルト的賞賛を浴びたことがある。これと似たようなディテールの面白さが動物番長の売りだ。けれん味と言い換えてもいいだろう。

以下は僕の推測だが、多分製作者はWEB日記を相当読み込んでいる人だ。ゲーム内で1日が終わると主人公がその日あったことを日記風にまとめる。この日記の文体が実にWEB日記そっくりなのである。ライムのような短文。連想から横滑りする単語の羅列。不思議なハイテンション。自虐。今現在WEB日記で一番人気のある分野、「ネタ系日記」そのままの文章が任天堂製ゲームの中に出てくるという非常識さは一見の価値があるかもしれない。少なくとも僕は驚いた。また、独特の昔風なフォントも味があるのだが、これは多分製作者のエミュレーター趣味が反映しているのだと思う。「高解像度のディスプレイに全画面表示でファミコンをやっているような文字」と言えばわかりやすいだろうか。ギザギザ、ガクガクの文字。

遂に自分と同世代(あるいはもっと下)のデザイナーが、ゲーム製作の現場においてトップに立つような時代になったんだということを強く感じる。動物番長は正にネット世代の僕たち(あえて僕たちと言わせてもらおう)が初めて世に送り出したアンチ大作主義のゲームなのである。心からゲームを愛する、20代後半以上の人たちにやってもらいたい。


おっさん向け(余計な)用語解説

ライム
Rhyme  主にHipHopの世界で使われる言葉。ラップの歌詞の意。

匿名メールで指摘を受けたので補足。ちゃんと調べていなかったのだが、動物番長のシナリオ担当はパラッパラッパーで有名な伊藤ガビン氏だった。ちょっとネット世代の僕たちと言うには年齢が上すぎ 笑。企画担当の松本弦人氏はさらに上。デジタル畑の人たちは気が若いのだということなのかも。うへ、逃げ口上。謹んで訂正します。

この間、プロレスを見に行ったんですよ。見ている最中に、戦いの内容とかじゃなくてルールのことを考えちゃうんですよ。ここはこういう風にルールがなってたら全然違うんじゃないかとか。ねっ、これって、ゲーム屋でしょ?

伊藤氏の言葉。



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