
ええとね、今日はクソ真面目な事を書くよ。誤解を受けたくないので言葉を尽くして書く。長くなる。社会的な背景や構造的な問題、そういうのを出来るだけ抜きにして感情論で訴える。なぜ感情論で訴えるのか? 戦略として。
先日テキスト庵を漁っていろんなサイトを読み込んでいたら、「浮浪者は臭いし汚いから消えろ」という内容の文章を書いているサイトに当たった。リンクする気になれないので気になる人はテキスト庵の風聞帳で探してくれ。
その文章は彼の正直な気持ちをストレートに語っている(少々露悪的に過ぎるが)。差別意識や偏見をもってしまうことからは誰も逃れられない。僕自身差別の気持ちを持ちたくないという希望を抱きつつも、正直心の片隅で浮浪者は汚いなぁ、臭いなぁ出来れば関わり合いを持ちたくないなぁという考えを持っている。しかしこれはやはり恥ずべき事だ。ホームレスを十把一絡げにして社会の一員として最低限の頑張りを行なわない
人たちと言い切れない。やむにやまれず自分がそういう境遇に陥るとも知れないからだ。これは別に極論でもなんでもない。現に僕はそういう危機を感じることがある。
ここから話はガラリと変わる。ホームレスの話はおしまい。以下はこのホームレス問題を契機に考えた差別一般の問題だ。決してそれぞれのケースを同列に考えるわけではない。しかし差別意識、偏見にとらわれる点において根っこは同じだったりする。相手を知っているか知らないかの差だ。
僕の友人で大学時代に突然腎臓病を患い、透析を受けなければ生きていけない体になった男がいる。週に何回か数時間の透析を受けるため遠くの病院に通う。そのせいで仕事に就くこともままならない。透析治療の部屋には自分よりもずっと若い小学生の女の子などがいて、泣きながら透析を受けているんだそうだ。「俺がこれしきのことで泣き言を言うわけにはいかない」と彼は笑って言った。
そんな彼が顔を曇らせて僕に語った事がある。近所の人たちに腎臓病であることを秘密にしているんだそうだ。透析には莫大な費用がかかる。これを個人で負担させるのは患者に「死ね」と言うも同然だ。国から身体障害者手帳を交付してもらい医療費の助成を受ける。一部にこのことを良く思わない人たちがおり、「おまえは俺たちの税金のおかげで生きていけるんだぞ。有難く思え」などと差別を受けることがあるんだそうだ。僕は耳を疑った。「そんなバカな言い草ってあるか? 自分の家族がもしも突然腎臓病になったら、そいつは同じ事を言えるのか? なんという想像力の欠如だ。信じられない」と。
僕はたまたま親友に腎臓病患者がいた。だからこう思えるのかもしれない。もしもまわりに誰一人腎臓病患者がいなかったとしたら、先の差別発言のような考えにとりつかれていたかもしれない。そう考えるとたまらなく恥ずかしい気持ちになる。
またまた話が変わる。僕のバイト仲間の女の子の彼氏の話。中学生の時に交通事故で下半身が麻痺した。それ以来ずっと車椅子だ。気のいいやつでかなり仲良くなったんだが、僕は車椅子の友人を持つのは初めてで、何かにつけて気を使いすぎてしまったり、ちょっとした事に気付いてあげられなくて不自由させてしまうという事がよくあった。正直今でも彼にどう接したらいいのか戸惑う事がよくある。腫れ物にさわるように接すれば彼のプライドを傷つけるだろうし、だからと言って健常者と全く同じように接する事ばかり考えていたら、彼の肉体的苦痛は避けられない。とても悩む。しかし一緒にいる時間を持つことで、ちょっとずつではあるが彼の気持ちになってモノを考える事が出来るようになっていく。もちろんそれは僕の勘違いに過ぎないかもしれない。自分の足が動かなくなってみなければ決してわからないことがたくさんあるかもしれない。それでも僕はいいと思っている。少しずつでいい。最初は偽善でもいい。知らないまま済ましてしまうよりはずっといい。車椅子に対する差別、偏見、安っぽい憐れみ、そういうものは知ることによって確実に薄らいでいく。
「想像力が足りない」と一言で片付けるのは簡単だ。でも人間の想像力なんてタカが知れている。実際に相手に接し、話をしてみなければわからないことは想像以上に多い。そしてそうやっても尚わからないことはまだまだあるのだ。障害者をバカにした発言をしたり、ホームレスを汚い臭いと社会からシャットアウトしてしまう前に、少しでいいから相手と接した方がいい。そして彼らと友達になったとき、親友や家族あるいは自分自身がそういう境遇になったとき、同じような差別発言が出来るのかどうか考えた方がいい。出来ないのであれば、たとえ心の片隅に差別的な考えがあったとしても、それをそのまま口にしないでくれ。それは偽悪だ。出来るという人には何も言うまい。
気のせいならいいけどWEBには偽悪、露悪を気取る者が多すぎないか? それを賞賛する者が多すぎないか? 僕は対抗勢力として精一杯偽善を撒き散らす。すすんで偽善者の冠をいただくよ。そうしてバランスが取れるならそれでよし。歯の浮くような話ばかりでも、胸が悪くなるような話ばかりでも、理屈っぽい原則論ばかりでも気持ち悪いだろう?
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