
映画を観る楽しみの半分は、観終わった後に友人とあれこれ感想を言い合う事だ。一人で観に行ってもいいんだが、後で同じ映画を観た人が少ないと損した気がする。
先日書いた幡ヶ谷の子(29歳独身女性)が変わったヤツで、読解力と言うか鑑賞力と言うか、そういうものが完全に欠落している。自称「映画通」って事になってるらしいが詐称だ。犯罪だ。
いつだったか『イングリッシュ・ペイシェント』というアカデミー作品賞他9部門を受賞した映画を、彼女を含めて友人数人で観に行った事がある。ご覧になっていない人のために一応紹介文を書いておこうか。「戦争によって運命を狂わされた男女の希望と再生を、現在と過去を交錯させながら壮大なスケールで描いた感動作。第2次世界大戦末期。事故で重傷を負った身元不明の患者が、遠退く意識の中で次第に運命の女性を思い出す」こんな感じだ。奥深い作品なのでいかようにも観方があるとは思うのだが、彼女は観終わった直後にこのようなコメントを言い放った。
「ええと、これって結局主人公がホモだって事? あのインド人みたいな人とホモ達(?)なんだよね?
」
一同唖然である。誓って言うがそんな事をほのめかす描写は劇中1秒たりともない。ホモの「ホ」の字もない。おまえは一体あの映画のどこを観てホモとかわけのわからん事を言ってるんだ、と一同から散々罵倒された。『もののけ姫』を観に行った時も同じような事があった。
「あのさ、ヤックルはあの狼の事が好きなんだよね? キスしてたよね?
」
してない。好きじゃない。そんな瑣末な事を気にかけて観てた人は誰もいない。恐ろしいほど常人の感覚とズレているのだ。『スピーシーズ』を観た時はこんな事を言っていた。
「わかった! あの黒人は超能力者でしょ?
」
そんな事は映画が始まってすぐに全員わかってる。今頃気付いて喜んでるのは君だけ。つーかそれに気付いてなかったら映画の内容が全然理解出来なくなる。
一つだけ弁護しておこう。彼女が「これはホモ映画だ」と言い放った『イングリッシュ・ペイシェント』の主人公は実在の人物で、この男は確かにゲイだったんだそうだ。ただし映画ではヘテロセクシャルとして描かれているから、彼女の読みは映画観賞的には明らかに間違えている。恐らく彼女は超能力者(サイコメトラー)で、映画のモデルになった実話を直感的に見抜いたんだろう。しかしながら残念なことに、サイコメトラーと映画の感想を言い合っても楽しくない事だけは事実なのであった。
MENU
冷麺最新5件の記事
冷麺最新3ヶ月
Amazonトップセラー