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2002年11月23日

外部の血

日経流通新聞を愛読してるんで、よくネタ元として使わせてもらってる。日経流通を読んでる人は「ああ、またか 笑」てなもんだろう。そこで見つけたなるほどネタを絡めて。

桜庭和志が当たり前のようにTVCMに登場するほど、総合格闘技ってのは市民権を得てるようだ。その道を切り開いたのはK-1における石井館長同様、PRIDEの森下社長(DSE ドリームステージエンターテイメント社)と思って間違いない。で、この森下氏の経歴なんだが、元は電器屋(エイデン)の社員だったんだそうだ。記事を元にその活動を追ってみよう。

現場で白物家電を売っていたが販売の限界を感じる→社内の宣伝部に異動して力を発揮→広告効果に対して責任を取らない広告代理店に愛想をつかし、自社で全てを取り仕切ることにする→エイデンの子会社として広告部門を独立させる→自社広告以外も手がけるようになり、スカパーに仕事を依頼される→スカパーの販促としてキラーコンテンツの重要性を思い知る→アニメや映画などのコンテンツはクリエイターの資質に拠る部分が大きすぎてギャンブルに近い→業界が未熟でプロデューサー不足の感がある格闘技に着目→DSEを設立してPRIDEを興行、スカパーのキラーコンテンツとなる→スカパーにおけるPRIDEのPPV(ペイパービュー)収入が採算に乗り、森下社長の手腕が評価される

一見してわかるように森下氏は格闘技経験がないどころか、格闘技そのものに興味があるかどうかすら怪しい。家電業界から広告業界に転身した根っからの「プロデューサー」なのだ。だからこそ総合格闘技を一般のファンにまで浸透させる事が出来たと言えるかもしれない。昨今相撲人気の凋落がよく言われるが、角界などは典型的なプロデューサー不在の世界と言える。なにしろ選手や興行主やコーチや解説者、マネージャーに至るまで、業界まるごと全員相撲取りか元相撲取りなのだから。中学を出てすぐ相撲部屋に入った世間知らずのお相撲さんが、引退したらすぐに優れたプロデューサーになれるかといったらこれは相当怪しいに違いないのだ。外部の血が一切入らない閉じた世界は、一人の天才的プレイヤーか、あるいは一人の天才的プロデューサーが自然発生しない限り衰退する他ない。それがK-1における石井館長であり、プロレスにおける猪木である。この2人がいなかったら間違いなくK-1の隆盛も、かつてのプロレスの隆盛もなかっただろう。

総合格闘技が、森下社長という外部の血によって盛り上がった事実は素直に賞賛しよう。だがしかし! あえて言おう! カスであると!

格闘技に興味がなく、ビジネスとしてしかそれを捉えていない人間が、力を持ちすぎるのはこれもまた格闘技を危うくする要因となるのだ。ゲーム業界においても同じ事が言える。かつてファミコンとスーパーファミコンを擁してゲーム業界を牛耳った任天堂は、内部から発生した天才的プロデューサーである。彼らはゲームをゲームとして愛し、運良くビジネスとして成功させた幸運な会社でしかない。そこに今正に切り込んだ外部の血こそがプレイステーションを擁するSCEI(SONY)と、X-BOXを擁するMS(マイクロソフト)である。彼らはゲームを愛してはいない。彼らにとって家庭用ゲーム機というものは、パソコンからテレビ、白物家電までをも含む全てのコンシューマー市場を牛耳るためのひとつのコマでしかない。彼らが家庭用ゲーム機からの戦略的撤退を選択したら、跡に一体何が残ると言うのか。逆に彼らのうちどちらかが完全に業界を牛耳ったらどうなる。ゲームは死ぬ。ゲームによく似た薄っぺらな何かが「ビジネス、ビジネス」と念仏を唱える賽の河原に、僕らゲーマーは放り出される。

今格闘技が面白いのは、石井館長、森下社長、猪木の3人がバランスを保ってうまく交流しているからだ。ゲーム業界も任天堂、SONY、MSが拮抗している状態が望ましいと僕は思う。SONYとスクウェアだけが勝っている状態(MSとIntelの関係だ)なんてのは目も当てられない。そのためにも任天堂には頑張ってもらいたいのだ。諸君、ごたくはいいから『ゼルダの伝説 風のタクト』を買いたまえ。これからも面白いゲームを遊び続けたいのなら任天堂に力を貸したまえ。

と、無理やりゼルダの販促活動に結びつける僕は任天堂から謝礼のひとつも貰っていい。つーかここんところゲームの話ばっかりだね。ばっかりって言うかばかだね。



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