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2003年02月05日

デイビッド・クローネンバーグ 「内臓バカ」

note: 1943年生まれ。カナダ人。代表作『スキャナーズ』『デッドゾーン』『ザ・フライ』『裸のランチ』

この人はかなりカルトなバカと言えます。普通の映画を撮れる人なのに、根がB級というかイっちゃってる人です。劇場映画デビュー作『シーバース』('75)で既にバカ道を極めてました。人体には先天的に欠陥があると考える医学者が、自分の教え子の女生徒を使ってある寄生虫の実験をするんです。この寄生虫は体内に侵入すると内臓の機能を代行して、その欠陥を補うんですね。しかし寄生虫はやがて自分の意思を持つようになり、人間の体を乗っ取ってしまう、という映画です。設定だけ聞くとまともなSFっぽいんですが(他の監督が撮ってたらまともなSFになっていたに違いありません)、クローネンバーグの場合はこの枠にとどまることが出来ないのでした。

まず「自分の教え子の女生徒」を使ってるあたりが怪しくありませんか? 別に実験するなら男でもいいわけですし、そもそも人間である必要もないじゃないですか。猿でいいわけですよね。そこを敢えて「女生徒」を実験材料にしてるあたりがバカとしか言いようがありません。劇中、医学者が制服を着たままの女の子の腹をかっさばくシーン(しかも本人はパンツ一丁 ゲラゲラ)はクローネンバーグの「一歩間違えたら映画監督じゃなく連続猟奇殺人事件の犯人になっていたに違いない(注 僕の勝手な想像です)」という業の深さを感じさせます。

この監督の偏執的内臓フェティシズムを最も如実に表してる作品は『ビデオドローム』('83)でしょう。『シーバース』で既に見せていたバカ度はここに来て頂点に達した感があります。商業的な成功を目指したとは到底思えない難解なストーリー、「気持ち悪いなら別に観なくていいよ」と言わんばかりのグロテスクな描写、どれを取っても一級品です。スーパーバカです。恥も外聞も捨てて自分の願望をそのまま映画にしたという感じです。よく当時のプロデューサーが金を出したなーと感心します。この映画で一番印象的だったシーンは腹にビデオテープを挿入するシーンですね。腹がガバっと開いて、挿入口みたいになるんです。で、テープを挿入すると痛いような気持ちいいような複雑な表情になるんですが、ここが最強にバカでエロ。後年、この『ビデオドローム』をリメイクしたかのようにそっくりな『イグジステンズ』('99)という映画でも似たようなシチュエーションがありました。バーチャルゲームの本体と人体を直接ケーブルで接続するんですが、背中の挿入口にケーブルを突っ込むとすごい快感の表情を浮かべるんです。内臓、ぐちゃぐちゃ、ぬるぬる、とかそういうキーワードがないと興奮しないという……、ホント変態監督ですね。ちなみにクローネンバーグのプライベートな趣味は「手術道具の収集」だそうです。危険すぎです……。

クローネンバーグで最も商業的に成功した作品は『ザ・フライ』('86)でしょうか。大昔の『ハエ男の恐怖』('58)のリメイクなんですが、クローネンバーグ臭さを極力抑えて、尚且つケレン味を残した快作です。さらにクローネンバーグ臭を完全に消し去り、硬派で面白いのが『デッドゾーン』(83)で、これはスティーブン・キングの原作を忠実に映画化した作品として有名です。クローネンバーグでどれか一本見てみようかなと思われたらこれらをオススメします。ちなみに僕は『ザ・フライ』を女の子と観に行ったんですが(それがバカ)、その子が素で涙を流していたのを見てとても驚きました。確かにこの映画、観る角度によっては美しくも哀しい純愛物語として映るんです。でも僕としては、そこらへんは商業的成功のための方便だと思います。クローネンバーグはそんな甘っちょろいセンチメンタリズムとは無縁の人だと確信してます。

結論: クローネンバーグはエロティックに内臓を描かせたら世界一のバカ。しかし、どこにそんな需要があるのかさっぱりわかりません。こんなアブナイ人物がハリウッドで一定の成功を収めているという事実は、世の偏執狂たちに一縷の希望を抱かせてくれますね。ビバ、バカ!


CAPCOM社員さんのアクセスがあり冷や汗。しかし、たとえ社員さんを目の前にしても、冷や汗かきながらこきおろすよ。愛と期待の裏返しだ。続編ばっかり作ってないで目の覚めるようなアクション作ってくれ!!




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