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2003年02月17日

繁子のインターネット

いずれの御時にか数多女御更衣さぶらいたまいけるなかにすぐれてときめきたもう人がおられまして、他人に優しく自分に厳しく、良識備えたる女性でありました。仮に名を繁子といたしましょう。繁子さんのような所謂「いい人」の周りにはやっぱりいい人が集まるものです。繁子さんは日々を楽しく暮らしておりました。

ある朝繁子さんが何か気掛かりな夢から目を覚ますと、インターネット時代の只中にいる自分を発見いたしました。そうか、時代はインターネットなのね。したらばネチズンがすなるホームページというものを自分もしてみんとてするなり、などと思いまして早速ホームページなるものを開設いたしました。『繁子's ほおむぺえじ』はこうして幕を開けたのでございます。が、しかし、開設初日から「ほおむぺえじというのはWEBサイトの最初に表示される1ページの事を指すのであって誤用である。正しくは繁子'sサイトであろう」などと指摘なさるお人が早速現れ、その前途には暗い陰が落とされたのでございます。

繁子さんは自分のサイトに4つのコンテンツを設置いたしました。「アバウト」「シャシン」「ニキ」「ビビエス」。なぜ日記をニキ、掲示板をビビエスと表記するのかは自分でもよくわかりませんでしたが、何か名状しがたきもの、万物に宿る精霊が如きものに突き動かされ、そのようにいたしました。ニキでは日々繁子さんの周りで起こる楽しい出来事をあるがままに綴りました。

いつしか繁子'sほおむぺえじは栄華を極め、ビビエスは返信(レスと申すそうです)が辛くなるほど繁盛するようになりました。しかし違う。何かが違うのです。「インターネットはいろんな人と知り合えるのがいいよね(はあと)」という繁子さんも信じて疑わなかった定説が、繁子さんに限ってはどうやら逆に作用しているようなのです。イソターネット以前の時代には、常に繁子さんの周りは「いい人」であふれておりました。しかし何故か繁子'sほおむぺえじは繁子さんが望んでいない人物に占拠されるようになっていたのです。招かれざる客ばかりが来るのです。

「私はほおむぺえじを自分の家のように思っている。なぜ彼らは私の家に土足で上がってきて私を翻弄するのだろう。そっとしておいてほしいのに」

このような泣き言をニキに書いた瞬間、山のような罵倒が繁子さんに浴びせられました。「WEBで公開するということの意味を考えろ」「そんなに批判を受けるのが嫌ならローカルで日記書け」「自分の言葉に責任を持て」繁子さんは混乱しました。傷心のままサイトを閉鎖し、元のイソターネットとは無縁の生活に戻りました。平穏な日々がよみがえりました。現実の生活でも嫌な人物と知り合う事はありましたが、そういう人は自然と縁が切れていきました。イソターネットはなんで嫌な人物となかなか縁が切れないんだろう? なんで私と合わない人が次々と押し寄せるんだろう? いろんな人と知り合えるのはメリットかもしれないけど、私は嫌な人とは知り合いにはなりたくないなぁ、と繁子さんは思いました。おわり。



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