
note:1970年生まれ。インド人。代表作『シックスセンス』『アンブレイカブル』『サイン』
注意! 今回は若干のネタバレを含んでいます。シャマラン作品未見の人はすっとばしてください。
「ええ〜〜? シャマランはバカじゃないだろう」というブーイングが聞こえてきそうです。知能犯と言えると思うんですが、地下水のように豊かなバカが根底には流れていると僕は思います。この人の映画は心を無にして(バカになって(小バカにして(!?)))見るのが一番面白いと思います。
ハリウッドにその名を知らしめた出世作『シックスセンス』('99)なんですが、これによってシャマランは「ハートウォーミングな作家。あっと驚くストーリーテリングの作家」という評価が定まってしまいました。これはバカ道から見ると大きな損失です。未だに「オチがすぐわかった」「心が温かくなった。感動した」などのバカ道とは無縁の感想がはびこっているのは見るに堪えません。そういう評価軸では天才シャマランが潰されてしまいます。
バカ道的シックスセンス評価はこうです。「幽霊という子供っぽいネタ(以下子供ネタ)を、丁寧に丁寧に大人視点で再構築した映画。CGなどの派手な映像に頼らず、抑制の効いた演出で描くことにより否が応でも子供ネタの否定ストーリーになるんだと勘違いさせておきながら、その実「そのまんまじゃん!」とツッコミを入れざるを得ないド真ん中の剛速球だったことに気付かされる腰砕けバカ映画」
この「幽霊」の部分が「スーパーマン」になったものが『アンブレイカブル』('00)、「宇宙人」になったものが『サイン』('02)ですよね。見事なくらい子供っぽいB級ネタを描くことに固執してます。そこがバカ。バカ度は回を追うごとにヒートアップしており、もはや一般的評価軸でシャマランを語ることは無意味とさえ言えます。「今回はオチがいまいちだったよねー」ですと? オチとか関係ないんです。シャマランはあっと驚くオチが描きたいんじゃなくて子供っぽいB級ネタが描きたいだけなんですから。「今回も家族の愛っていうテーマが良かったよねー。でも設定がいまいち。宇宙人必要ない」ですと? 逆じゃないですか。宇宙人なんていう今更テーマを最後まで「実は宇宙人じゃないんでしょ? でしょでしょ?」と思わせて引っ張って引っ張って、実はやっぱり宇宙人そのまんまやんけ! というバカさ加減を楽しんでくださいよ。家族愛とかオチとか、そっちは刺身のツマというか、子供ネタに一般映画ファンを巻き込むための方便なんですから。
もうひとつ見逃せないのが「わなわな感」です。シャマランの映画は登場人物が例外なく「わなわな」してるんです。激昂したり派手なアクションがない代わりに、必ずわなわなと震えます。この静かな緊張感が子供ネタを否定するに違いないという予断を生んでいるんだと僕は思います。幽霊とか宇宙人とか超能力とか、そういう子供ネタに震えるほどの緊張感が生み出せるでしょうか? 無理です。子供キーワードを聞いた時点で鼻でせせら笑ってしまいます。シャマランは観客をしらけさせないために、緊張感を持続させるために、この「わなわな」を演出しているに違いありません。
結論:シャマランは子供ネタでど真ん中の直球投げさせたら世界一のバカ。丹念に積み上げたリアリティが最後にぶっ壊れるのはシャマランパワーのせいではなく、題材が元来持っている子供パワーのせいなんです。僕は彼の描く子供世界を同世代としてこよなく愛しています。興行的な失敗なんて気にするな。「オチがいまいち」は禁句ですよ。ビバ、バカ!
MENU
冷麺最新5件の記事
冷麺最新3ヶ月
Amazonトップセラー