■ 映画感想係『キル・ビル』
映画『キル・ビル』初日オールナイトに行って来ました。以下ネタバレを含むので注意。だらだらととりとめなく書きます。
続き
- 大作(?)映画はほとんど先行オールナイトか初日オールナイトで観ているのだけど、本当に驚くくらい観客の数が少なかった(しかも一人客多し)。公開前に騒いでいたのは一部の映画マニアばかりで、一般人には全然興味を持たれていなかったのだと痛感。
- 完全なる「B級映画」で、それ以上でもそれ以下でもない。B級映画をB級映画としてそのまま受け入れて楽しめる人じゃないと全然面白くないと思う。また、それを阻む要因として「映画そのものと宣伝に金をかけまくっている」「"あの"タランティーノだから単なるB級に終わらず、何かひとひねりあるに違いない」という無駄な知識と先入観があって、本当に楽しめる人は数が限られてる。
- 昔のB級映画で見られる荒唐無稽さはもちろんあるのだけど、『パルプフィクション』のような気のきいた「はっちゃけ具合」はない。あくまでも伝統的B級映画の荒唐無稽。
- 多分日本人は、洋画の中に日本語が出てくるということに耐えられない体質なのだと思う。エンドクレジットに梶芽衣子の歌が流れるのも、外国人ならエキゾチックな感覚に浸れるのだろうけど、日本人には違和感にしかならない。インチキ日本描写も、「タランティーノは日本通」という知識があるせいで逆に全然笑えない。いちいちつっこんだところで、それは確信犯なわけだし。全く日本を知らない監督が無茶苦茶な日本を描いてくれた方が素直に笑えると思った。『ライジング・サン』とか。
- ルーシー・リューの日本語は比較的上手かった。ユマ・サーマンの日本語は笑える。千葉真一の日本語はもっと笑える。千葉真一の英語は核兵器。でも寿司屋コントは正直キツかった。あれは日本人も外国人も全く笑えないと思う。この偉大なる大根役者は北野武監督に土下座して謝るべきだ。
- 日本人に作らせたという「ルーシー・リューの生い立ちアニメ」の出来がよかった。でも長い。
- 『スプラッシュ』と『ブレードランナー』で天使のような笑顔を見せていたダリル・ハンナが凶悪面になっていてちょっとへこんだ。怖い。
- 青葉屋の廊下での初登場シーンも含めて栗山千明の全てが魅力的。『ホイチョイプロダクション』に出てくるエロおやじのような過剰な下まつげがセクシー。ゴーゴーボールをぶち当てる時の前蹴り(?)アクションが可愛くてかっこいい。でも回想シーンでは受け口気味(小林正寛そっくり)でデカ鼻で本当に可愛いのかブサイクなのか判断つきかねる。Vol2で生き返るくらいはやってほしい。
- チャンバラシーンはそれなりに観ていて面白かったが、斬新なアクションというほどでもなかった。
- 『ジャッキー・ブラウン』で往年のB級スター、パム・グリアーを前面に出しても僕ら一般人にはピンと来なかったどころか全然魅力を感じられなかったのと同じように、千葉真一にも全く魅力を感じなかった。少年時代のヒーロー(ヒロイン)に対するリスペクトは持ち続けるべきだろうけど、老いたヒーローに眩しいスポットライトを当てても、老醜を晒すだけだ。彼らにはそれにふさわしい気のきいたチョイ役で出てもらうのが一番いいと思った。
結局、タランティーノのあまりにマニアックな趣味にさすがのタランティーノファンもついていけない、という構図だと思う。『トゥルーロマンス』や『レザボアドッグス』や『パルプフィクション』のように、中身は実は日本のB級映画なんだけど、外面はハリウッドらしいもっともらしさで繕っている映画の方が、日本人には受け入れやすいのだと思う。やはり予想通りの結果だった。『パルプフィクション』を100点、日本人が描いたインチキ日本である『鮫肌男と桃尻女』を97点とすると、『キル・ビル』は50点くらい。正直、タランティーノファン以外には全くおすすめできない。
模倣犯に書いた関連文章。
キル・ビル Vol.1
- 出版社/メーカー: ユニバーサル・ピクチャーズ / ジェネオン エンタテインメント
- 発売日: 2004/04/16
- メディア: DVD